カンガルー袋のなかからコンニチハ!

一度はカンガルーの袋に入ってみたい人のブログ。

高松塚の里から思う 日本の歴史ブームとは

日本人の歴史好きは今に始まったことではないが、思い返せば必ずブームと裏返しに思っていたと私は思う。

高松塚の衝撃は、当時小学生だった私も鮮明に覚えている。現在と違って新聞にカラー面がほとんど無かった時代にもかかわらず、紙面に大きく鮮やかな彩色で表現された当時の風俗を見た時、「凄い発見だ」と実感した。

 

記念切手は発行される。雑誌の特別増刊は出版される。テレビの特別番組は組まれる。他にも便乗商品はあったと思うが、残念ことに思い出すことが出来ない。

何年か前に明日香の地を訪れることがった。初めてではなかったが、さすがに歴史に故郷だけあって、千数百年の歴史の断層の差を受け入れることが出来た。当時も現在も、一般人には公開されていないが、単なる小さな竹藪に思えるところが世間を騒然とさせた震源地であるということを簡単には受け入れられなかった。

もし実物を目にすることが出来たとしても、おそらくは期待したほどの感銘は無いと思う。多くの場合はそうだったから。情報とは人の手を経るにつれて振幅の幅が増幅されるものだ。これも例外ではないだろう。

母の話では高松塚の発見以前の明日香は、草深いところだったという。有名な石舞台も放置されたままだったと聞かされて、柵で取り囲まれていた風景(この時は父と一緒だった)を思い出し、その分育った桃の木を心の中で見比べて、歴史とはこう変わる物かと思い知らされた。

蘇我馬子と入鹿は今、何を思うだろうか。