カンガルー袋のなかからコンニチハ!

一度はカンガルーの袋に入ってみたい人のブログ。

色の世界の魔術は、古代日本から

聖徳太子が定めた冠位十二階位。これは日本における色の革命だと私は考えている。

草木染が文化に果たした役割は実に大きい。もちろん最初は実用的な工夫によるものだった。布の精錬と染色は、防虫・防臭といった実用面から始まっている。それがやがて自分がどの氏族に属するか、どの身分に属するかという社会的側面も持つようになった。

 


草木染で表せる色は実に多いのだが、残念なことに偏りが大きすぎる。黄色や灰色、それに基本の色である黒の系統は実に多い。意外なことだが、白に脱色することの方が大変だった時代もあるのだ。それはさておき、その偏った色合いの中から、我々の先祖は様々な手法を駆使して十二単に代表される襲(かさね)といった概念を打ち立てた。

紅は大和茜、紺はすくも藍、紫は紫根といった手段で表現されてきた。時代は変わって紅花やコチニールといった外来の手法でもあらわされるようになった。染を重ねることで緑も表される。草木染の最大の欠点は力が弱いという点にあるが、その反面として重ねて染めることが出来るという利点もある。それが発展して襲につながったのだ。世界に誇る『源氏物語』の王朝絵巻も。これら無しには成立しなかったはずだ。

環境保全が最優先で求められる現在、自然に優しいのは元からの自然で始められた物だ。草木染にも媒染が多くの場合必要で、それらには注意を要するものもある。だが、永年の経験で培われた技術は、大意を損なわずにこれからも受け継がれてゆくだろう。